はじめての十二絃という和楽器

音楽出版関係のお仕事をされているお客様から、マンションのご購入に際し6畳の洋室を防音室にしたい、というご相談です。
お仕事場として、モニタースピーカーから音を出したり、ピアノ、管楽器、箏、十七絃、三味線などを演奏したいというご希望でした。十七絃という楽器は箏の中でもより低い音が出るそうで、playtoneとしては今まで経験のない楽器でした。
そこでお客様のお師匠様の家に訪問して、十七絃を弾いていただき測定をしてみました。確かに低音は出ますが、グランドピアノ対応レベルの防音室で大丈夫な範囲でした。

防音工事のプランを作成する時に、まずは音源となる楽器の特性を検討します。その次に対象となるお部屋の躯体状況を調べます。マンションの場合、多くは管理室に「竣工図面集」というマンションの躯体等も記載された図面があります。上の写真は今回のマンションの竣工図面の一部ですが、床スラブの厚さが20cmでその上に15cmの2重床が乗っていることが分かります。これだけでも躯体の状況や防音工事後の床の高さが判断できるので、「竣工図面」の確認は必須となります。

次に現地にお伺いして様々な部分を確認し採寸していきます。この写真で気になるのは大きな梁です。右手に見える入口のドアよりも下がってきているので、防音ドアの位置や種類によっては問題となります。今回は防音2重サッシといたします。

一気に工事へ飛びます。既存の床、天井、壁は解体して躯体を出します。そしてこの中に宙に浮いたような防振・防音のお部屋を作っていきます。今回奥行のある広めのクローゼットがありましたが、後ろ半分を奥の部屋側から開けるように変更するので、クローゼット奥の間仕切り壁も一度解体しています。

一気に完成です(笑)全体的に明るいトーンでフローリングは「アッシュ」という白木目です。柑橘系の吸音パネルがアクセントとなりました。クローゼットは楽譜棚と箏の置き場に変更しました。

リビングルームから見るとこんな感じになります。入口は防音2重サッシでガラスにはミルク調のフィルムを貼っています。

後日、お伺いした時に撮らせていただきました。お仕事の機材と和楽器が共存する素敵なお部屋が完成です。

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