5畳にC5のお話し

またまた長いご無沙汰となっておりました。申し訳ございません。今回は5畳弱のお部屋にヤマハC5(長さ2m)を入れるという、かなり冒険な防音工事をご紹介いたします。物理的な大きさの問題とともに完成後の音の響きも難しい問題です。
工事前のお部屋はこんな感じです。

床は手前のリビングとつながっていて、天井から吊ったスライディングパネルで仕切るお部屋です。お客様のご希望は、1.ヤマハC5を入れる。2.できる限りリビングからのつながり感を残す。3.廊下側とリビング側と2面サッシでできるだけ広く開口面積をとる。などなど。図面を描いてみたところ、なんとかC5でも演奏に支障がなく作れそうなことが分かったため、様々な案をお客様とご相談して施工していくことになりました。

いつものように床、壁、天井を解体して躯体を出していきます。新築の誰もまだ使っていない部屋を壊してしまうのですからホントに勿体ないのですが、防音のためには仕方がありません。解体した床は12cmほどの2重床でしたので、完成後もリビングとフラットにできます。お客様のご希望であるリビングとのつながり感をだすためには重要なポイントです。

グランドピアノC5の型紙を作って何度も確認しながら慎重に施工していきます。

ピアノの一番奥が入る部分は壁を斜めに切り落として、なるべく有効面積を広げました。

間仕切りは防音サッシを2重にしています。ポイントは下レールをフローリングに埋め込んでいることと、3枚建てサッシを特注の3本レールにしていることです。このことによってサッシを開いたときの開口面積は通常のサッシよりもかなり広く解放感が生まれました。

壁は1面をイタリア製の木パネルを使った吸音壁としました。上部には楽譜棚を造作しました。音響調整にも使えるようにわざと扉の無いオープン棚にしています。

さてさて、無事にYAMAHA C5が入り、予想よりも椅子から後ろの空間も広くとれました。もちろん遮音性能も響きも想定通りの演奏室が完成いたしました。
ちょっと難しいかなぁ~?というお客様のご要望も、できるかぎりお答えして、理想のお部屋に近づけていきますので、よろしくお願いいたします。

最近の施工例を見る>